自閉症

自閉症とは

自閉症とは

自閉症は現在、アスペルガー症候群や広汎性発達障害などとまとめられ自閉スペクトラム症と呼ばれます。
脳の機能障害のひとつで、この場合は対人関係(社会的コミュニケーション)が苦手で、強いこだわりをもっているという特徴があります。
発症メカニズムは解明されていないですが、遺伝的要因と環境要因が複雑に組み合わされている可能性があります。

自閉スペクトラム症が疑われる症状としては、目線を合わせようとしない、一人で遊ぶことが多く、他者と関わろうとしない、表情が乏しい、言葉の遅れやオウム返し、ミニカーをきちっと並べる・マイルールがあるなど強いこだわりなどがみられるようになります。

幼児期に気づくことが多く、1歳半の乳幼児健診でその可能性を指摘されることもある一方で、成人になってから判明したというケースも少なくありません。
また、患者数は男女比では圧倒的に男性が多く、女性の2~4倍にもなるというのも特徴です。

治療について

現時点では確立した治療法はありませんが、乳幼児期の自閉症は「読み聞かせ」などコミュニケーション能力を高めることにより改善します。
療育は、個別あるいは小集団の療育(発達支援)によって、コミュニケーション能力(協調性や社交性 等)を伸ばす重要な取り組みです。
また、自閉スペクトラム症でみられる症状を軽減させるためにSSRIや抗精神病薬などの薬物療法も有効の場合があります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)

ADHDとは

小児は落ち着きが無いことが多いですが、ADHD(注意欠如・多動性障害)では、落ち着きがない(多動性)、集中力を欠く(不注意)、思いつきで行動する(衝動性)などの特徴がみられます。

男性に多いのが特徴で、生後半年を経過した頃から発症すると言われますが、小学校入学以降に気づくことがほとんどです。
多くは学校生活にうまく適応できないことで発症に気づきます。
よくみられる特徴は次の通りです。

  • 忘れ物をよくする
  • 決まりを守らない
  • 順序立てて、物事を立てることが困難
  • 友達に暴力をふるう
  • 授業中に座っていられず、立ち歩く
  • 一ヵ所でじっとしていることが苦手
  • 順番を待つことができない など

ADHDは、発症のメカニズムは現時点では解明されていませんが、脳の前頭前野の働きの未熟性が指摘されています。
成長していくにつれて多動症状の多くは落ち着くようになりますが、不注意は思春期・成人まで続く場合があります。
そのため、仕事でミスが多い、計画的に仕事を遂行することができない、思ったことをすぐ口に出してしまう、整理整頓が苦手などの症状は成人になってもみられ、日常生活に影響が及ぶことも少なくありません。

治療について

多動・不注意・衝動性がすべて薬物療法の対象になるわけではありません。
多動・不注意・衝動性が多少あっても学校生活が楽しく送れていれば「よし」とします。また、本人・ご家族・学校の先生が、本人の特性をうまくとらえて伸ばしていければ「よし」とします。
逆に、本人が多動・不注意・衝動性のため怒られすぎて自信を失ったり、クラスで疎外感を感じている場合、薬物療法を行ない、本人が自信を持てるように手助けします。
薬には主にメチルフェニデート、グアンファシン、アトモキセチン、リスデキサンフェタミンのほか、SSRI、抗精神病薬などがあります。

また療育では、刺激に反応しにくい環境を整える、社会生活訓練を行うなどしていきます。これによって感情をコントロールする方法を学んでいきます。
療育は本人の自信を育て、社会とコミュニケーションで繋がるようにするために重要です。