• 2016年3月18日

「セリ鍋の楽しみ」

「セリ鍋の楽しみ」

 1月に食べる春の七草のひとつに、セリがある。独特の味と、シャキシャキとした食感が特長だ。秋田ではよく食べていたが、関東であまりお目にかかったことがない。

 秋田県南部に湯沢市という町があり、そこに下関、上関、関口という3つの集落を合わせた三関(みつせき)という地区がある。その三関地区は、全国有数のセリの産地として有名だ。私の親戚はそこで、長年セリ農家をしている。

 セリは冬に採れるので、農家の人は、雪の中、冷たい水に入って作業しなくてはならない。とても大変な重労働だ。三関で採れたセリは、秋田名産のきりたんぽ鍋には比内地鶏とともに、欠かせない具材となっている。

 そのセリで作った鍋が、宮城県の仙台で大ブームだという。「仙台セリ鍋」というその鍋は、鴨肉もしくは鶏肉でだしを取ったスープに、大量のセリをしゃぶしゃぶのようにさっとくぐらせて食べる。先日食べてみたが、鶏のだしと、セリが見事に合ってとても美味しかった。秋田ではセリを一度にこんなに大量に食べることはない。

 仙台の人は、仙台セリ鍋を「おいしさが詰まっているセリの根っこまで食べるのが特長」という。秋田では昔から根っこまで食べていたと反論したい気持ちが喉元まで出かかるが、美味しければ、そんなことはどうでもよいのだと思い直して、セリの食感を楽しんだ。

 この美味しさでは、セリ鍋は、きっと近いうちに関東でも食べられるようになるだろう。

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